古い昔から音楽はいろいろな場面で、われわれの生活に豊かさを与えてくれます。音楽療法の始まりは古代ギリシャの頃と言われております。
近年では、脳梗塞後のリハビリテーションで認知機能の回復や、うつ病などの心の病にもその効果があると報告され、高齢者の機能回復や社会復帰に寄与できないかと研究が進んでおります。
難聴の赤ちゃんを早い段階で発見し治療や療育に結びつけるために、数年前より新生児聴覚スクリーニングが全国レベルで行われるようになりました。以前勤務していた小児センターでは、難聴の児童に音楽療法を積極的に行うことで、子供の反応が良くなり、親とのコミュニケーションが向上したことを実感しております。このような音楽の不思議を、少しでも解明するために、赤ちゃんや子供、大人に対し、いろいろな音・音楽・音響を聞かせながら脳血流を計測いたしました。
また同時に唾液中のホルモン量を計測、ストレスの指標も検討しました。その結果、音の聴かせ方により従来の音楽からは得られない効果を得ることが出来たのです。特に大脳の聴皮質の血流向上は注目される点です。
これらの成果は論文や関連商品として特許を申請しております。もともと音刺激は、耳から脳幹を通り情報を脳に伝えます。これまでの研究結果より、音の操作の工夫で、生命活動の基本となる脳幹をより刺激し、活性が高められると推測することが出来ます。これらのデータをふまえ、このCDは、脳を刺激・活性化しながら、いろいろな音のバージョンを楽しみ、心地よい音の世界で脳が活性化されたり癒されるように、音響の専門家とともに作成しました。
経歴
ドイツ・マグデブルク大学耳鼻咽喉科研究員、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科副部長、目白大学保健医療学部教授、目白大学耳科学研究所クリニック院長を経て、現在 川越耳科学研究所院長、日本小児耳鼻咽喉科学会理事、日本耳科学会評議員、また厚生労働省科学研究として、分担研究者として取り組んでいる。
専門領域は難聴、めまい、耳鳴りの診断、小児耳鼻科学