なるほど！深層心理で豆知識 ／ vol.22

「相手の心が読めたら、もっと上手く付き合えるのに……」と思うことはありませんか？　実は、何気ないしぐさや態度、思わず口から出た言葉には、人のホンネが表れているのです。今回は、言うことを聞かない子供、部下の心理を知り、思い通りに動かす方法を伝授します。相手の気持ちをうまく汲んで、素敵な関係を続けていきましょう！

　子供の教育は親にとって、また、部下の教育は上司にとって、とても重要なことですよね。子供も部下も、自分の教えを素直に聞いて、従ってくれればこれほど楽なことはありません。しかし現実には然にあらず。言うことを全く聞かなかったり、何度注意しても直らないといったことが多くありませんか？

　別段、こちらが無理な要求をしているわけでもないのに、態度が変わらない相手の真意はどこにあるのでしょうか。また、その相手に対して、あなたはどんな態度で接していますか？　実は、相手の態度が変わらないのは何かしら理由があります。そして、こちらの態度を変えるだけで、相手を180度変えることができるのです。その一例として、アメリカのある家庭の話（D.カーネギー著『人を動かす』より）を挙げましょう。

　ウィルソン家では、反抗的な思春期の娘の教育に手を焼いていました。母親が強い口調で怒っても、罰を与えても、全く言うことを聞きません。そんなある日、母親が止めるのも聞かず、娘は家の中を散らかしっぱなしにして、友達の家に遊びに行ってしまいました。娘の帰宅後、いつもなら母親は、娘を怒鳴りつけていましたが、その日は気力がなく、「どうしてあなたは、いつもそうなの？」と悲しそうな顔で尋ねました。

　すると、娘は、「お母さん、本当に知りたいの？」と聞き、母親がうなずくと、自分の考えや感じていたことを話し始めたのです。そのとき母親は、これまでの自分が、娘の言葉をさえぎって怒り、自分ばかりしゃべっていたことに気づきました。

　以来、母親は、娘が話したがっていそうなときは、思う存分しゃべらせるようにしました。結果、娘は母親に胸の内を全て話してくれるようになり、母子の関係も非常に良くなったそうです。つまり、娘は一方的に命令する母親ではなく、成長過程でぶつかる様々な悩みを相談できる母親を求めていたのです。ところが、その気持ちをわかってもらえないから、反抗的な態度を取り続けていたのでしょう。

　とは言え、子供の教育と社員教育は別では？　と思われるかもしれませんね。でも、根本は同じです。もしも社内に、思い通り動かない部下がいたら、まずは、相手の言い分を聞いてみてはいかがでしょうか。ポイントは、話の腰を折らず、否定せず、最後まで話を聞くことです。話しづらそうにしている場合は、話しやすいようにうまく誘導してみてください。

　すると、本人なりに考えを持って行動していたこと、何か問題に直面していたことなど、意外な事実が判明するかもしれません。そこで、部下が誤解をしているようなら、一喝するのではなく、「こうしたほうが、よりスムーズに運ぶと思わないか？」など、相手が納得できるよう説明してあげれば良いのです。

　たとえわずかな時間でも、相手の話に耳を傾けるだけで、これまで頭を悩ませていたことから解放されるかもしれませんよ。

（文／花梨）