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苦悩に苛まれたときにヒントになる言葉

 古くから伝わる四字熟語やことわざ、名言には、先人たちの知恵が凝縮されています。国や時代背景、慣習が異なるにもかかわらず、先人の言葉が現代に生きる私たちの心に染み入るのは、古今東西変わることのない、人としての生き方や、心のあり方、人と人とを結ぶ絆の大切さを教えてくれるからでしょう。今回は、ことわざの意味と使い方を、実際の体験談と絡めて紹介したいと思います。

「論より証拠」「瓢箪から駒」

「論より証拠」……口先で議論するより、証拠を示したほうが、事実が明らかになるという意味。「瓢箪から駒」……意外なところから、意外なものが出ること。思いも寄らないことが、事実になってしまうことのたとえ。

宝くじを買うよりカジノのほうが大儲けできる?

 毎年12月末には、「年末ジャンボ宝くじ」の抽選がありますね。購入した方は、この日がくることを心待ちにしていることでしょう。

 けれども、年末ジャンボ1等の当選確率はなんと、2000万分の1。3等の100万円でも10万分の1で、かなり当たりにくいのです。1等を狙うなら、むしろ、カジノのギャンブルのほうが何十倍も当たる確率が高いと言われています。

 それにも関わらず、ついつい宝くじを買ってしまうのは、「住宅ローンが完済でき、旅行に何度も行ける」とか、「7億円当たれば、人生を変えられる」といった、当選の夢や期待を抱くからでしょう。反対に、宝くじを買わない人は「一攫千金なんてありえない」「たった300円の当たりのために、3000円払うなんてアホらしい」と現実的です。

「論より証拠」のはずが「瓢箪から駒」を出してしまう

 アメリカに住む、銀行員のスタンリーさんも、現実的なものの考え方をする人でした。宝くじを買いたがる息子たちに向かって、「いいか、世の中、そんなに甘いものではない。当選確率の低い宝くじが当たることなど、ほとんどないんだ」と諭しました。そして、「論より証拠」とばかり、息子3人とお金を出し合って、1ドルの宝くじを1枚買うことにしたのです。

 いくらなんでも、たった1枚では証拠を示すことにならないのでは? 普通はそう思いますよね。ところが、その1枚が大当たりをしてしまいました。なんと、スタンリーさん一家に100万ドルが当選したのです。しかも、宝くじ1枚を買うために支払った金額は、一人あたりたったの25セントでした。

 かくして、わずか1ドルの宝くじが、100万倍の利益を生む結果となったため、スタンリーさんの目論見はみごとに失敗しました。彼は息子たちに、「欲を出さずに買えば、宝くじは儲かるもの」という認識を与えてしまい、大いに困惑したそうです。

 まさに、「瓢箪から駒」。思いも寄らないことが事実になってしまったわけですが、たった1枚の宝くじで大金を手にするなんて、うらやましい限りです。とは言え、「よし、1枚買って7億円当ててみよう!」などと最初から欲を出しては、きっと当たらないのでしょうね(構成・文/松岡宥羨子)


参考文献・『信じられない「偶然」のいたずら』(日本文芸社)

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