秋もすっかり深まり、紅葉が美しさを増す季節になりました。八百屋の店先には、美味しそうなたくさんの果物が野菜とともに並んでいます。柿、グレープフルーツ、オレンジ、キウイ、ブロッコリー、ほうれん草、ピーマン、ジャガイモ、サツマイモ……これらの食物には、ビタミンCがたっぷり含まれています。冬に向かうこの時期、風邪予防のためにも、ビタミンCをしっかり摂取したいものですね。
風邪の予防にビタミンCを取ると良いと言われるのは、ビタミンCに免疫力を高める働きがあるからです。また、ビタミンCには、動脈硬化を促す過酸化物質の生成を抑え、血中の悪玉コレステロールの値を下げる作用があります。実際に、コレステロール値の高い人にビタミンCを大量に投与したところ、悪玉コレステロールが減少するというデータが得られたそうです。
また、細胞間を結ぶタンパク質であるコラーゲンの合成を助ける働きがあり、皮膚や骨を丈夫にしたり、シミやそばかすのもとになる、メラニン色素の沈着を防ぎます。ほかにも、血圧の上昇を抑えたり、血栓を予防する効果や、肝臓の解毒作用を高める働き、薬物を代謝する作用があるなど、老化や病気から体を守るための役目を果たしています。
なお、老化の原因となる活性酸素は、食生活、飲酒、喫煙、紫外線などが原因で発生します。この活性酸素を抑制するために体内のビタミンCが消費されるわけですが、喫煙者は非喫煙者よりも、1日35 mg多く、ビタミンCを消費しやすいと言います。厚生労働省のビタミンC摂取推奨量は1日、100mgですから、喫煙者は135mg以上摂取することが望ましいのです。喫煙本数が多い人ほど、多くのビタミンCが必要になります。
ビタミンCはストレス緩和にも役立ちます。過労や不眠、人間関係のトラブルなど、肉体的・精神的ストレスがかかると、人間の体はストレスに対処するためのホルモンを分泌しますが、ビタミンCはこれらのホルモンを作るための材料となります。そのため、日頃から暑さ、寒さ、疲労、睡眠不足などによる、物理的、精神的ストレスを感じている人は、意識してビタミンCを摂取すると良いでしょう。
ビタミンCは積極的に取ったほうが良い栄養素ですが、一度にたくさん取っても効果はありません。過剰に摂取しても吸収率が悪く、2〜3時間後には尿と一緒に排泄されてしまいます。1日3回、食事ごとに取るのが有効でしょう。なお、サプリメントなどの錠剤も多く出回っていますが、通常の食生活をしていれば、不足することはないと言われています。特に食事がおいしく感じられる季節ですから、果物や野菜からビタミンCをたっぷり取って、毎日を生き生きと過ごしたいものですね。
※ 参考文献:『専門医が教える血液がサラサラになる食事と生活』(幻冬舎)
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