全国に蚊を媒介にしたデング熱の感染が拡大しています。高熱や筋肉痛、発疹などを伴う症状があり、かゆい思いをするだけでは済まされない状況です。厚生労働省では、蚊の多くいる場所で活動するときは、肌の露出を控えめにし、蚊の忌避剤(きひざい)を使用することを推奨しています。
蚊の忌避剤として、よく使用されているのは「虫よけスプレー」でしょう。人や動物の血を吸う蚊のメスは、皮膚の臭いと呼気中の二酸化炭素によって誘引されるので、皮膚に忌避剤がスプレーされていれば、その有効成分が働いて、人に近づかなくなります。
一方、人体にも環境にも優しいと言われるアロマオイル(精油)の中には、昆虫忌避作用が働くものがたくさんあります。蚊に有効とされるものの一つに、レモン系の香りがする「シトロネラ」というアロマオイルがありますが、肌に塗っておけば忌避剤になり、刺されたあとで塗るとかゆみが止まります。シトロネラ3滴、ゼラニウム2滴に、ウォッカ5mlと精製水45mlを混ぜると、虫よけローションができ、これをスプレー容器に入れて2、3時間置きにスプレーすると効果があると言います。
シトロネラのほかにも、レモンユーカリ、レモングラスなども、虫よけ効果のあるアロマオイルなので、使用してみてはいかがでしょうか。虫よけローションは、ボディに使うだけでなく、網戸にスプレーしておくのもおすすめです。
また、殺菌・消毒作用のあるラベンダーやローズウッド、鎮静効果や消臭効果のあるサイプレスなどは、虫刺されによる肌の炎症を鎮めてくれる働きがあります。そこで、虫に刺されたときに使う、炎症を和らげるローションの作り方をご紹介しましょう。ビーカーなどの器に、ユーカリ、サイプレス、ラベンダーを各4滴、レモングラス8滴を入れ、無水エタノール5ml、精製水95mlを入れて混ぜればできあがりです。このローションは、殺菌・消毒作用があり、切り傷や創傷、潰傷、炎症を好転させてくれるので試してみてください。肌が敏感な人は、精製水の量を増やし、精油を薄めた状態にして使うと良いでしょう。
秋の行楽シーズンは、キャンプに出かける人も多いのではないでしょうか。そこで虫に刺されないようにするために、テントの中に虫が嫌いな臭いのアロマオイルを香らせるのです。アロマポットに入れて、香りを拡散させると効果的でしょう。または防虫効果のあるアロマオイルを空中散布しても効き目があります。
ところで、ユーカリ=コアラの大好物とイメージする人が多いと思います。ユーカリはフトモモ科の常緑樹で、高さ100メールになる木もあるなど、世界で最も高い木の一つ。この木の葉からつくられるアロマオイルは、ミント系の清涼感ある香りが漂い、パワフルな消毒・抗炎症作用があります。さらに細菌の増殖を抑え、虫さされ、気管支、咳、花粉症などにも効き、のど飴や、うがい薬にも使われています。メンタル面では集中力・覚醒力を高める効果があり、食欲を抑えてくれるため、ダイエットにも有効とのことです。
ユーカリのように、アロマオイルには、心身に優れた作用をもたらしてくれるものがたくさんあります。それぞれの精油の特徴を知り、気軽に自然療法にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
参考文献/『はじめてのアロマテラピー』(池田書店)、『びっくり効果 香りの実用集』(青春出版社)
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