緑黄色野菜の代表と言われるカボチャ(南瓜)。カボチャは一般的に夏から初秋にかけて収穫される野菜ですが、栄養価が高く日持ちすることから、昔は冬場の野菜不足を補うための貴重な栄養源でした。また、体を温める効果もあるので、冬至に食べると良いとも言われています。
カボチャには免疫力を強化し、細菌やウイルスから身体を守る働きをするβ(ベータ)カロチンが豊富に含まれています。βカロチンは体内に取り込まれると、必要な量だけビタミンAを生成するので、視覚の暗順応や皮膚の粘膜の形成を助けたり、肌の角質化などを防ぐ働きもします。
ほかにも、糖質の代謝を促進するビタミンB1や、糖質、脂質、タンパク質などの代謝に欠かせないビタミンB2、コラーゲンの生成や抗酸化作用に優れたビタミンC、便秘の予防や改善に有効な食物繊維なども含まれていますから、疲労回復、風邪や生活習慣病の予防、病後の体力回復、美肌効果などが期待できるでしょう。若さを保ちたい方、健康を維持したい方は、いろいろなカボチャ料理をメニューに頻繁に加えてみると良さそうですね。
ところで、カボチャと聞けば、アンデルセン童話『シンデレラ』を思い出す方もいるのではないでしょうか。魔法使いのおばあさんが大きなカボチャを馬車に変えるシーンはとても夢がありますよね。
実は、物語に登場するような巨大カボチャは存在するのです。香川県の小豆島町では、「作る楽しさ」「育つ喜び」を分かち合ってもらいたいとの主旨の下、毎年9月に、育てたカボチャの大きさを競う、「日本一どでカボチャ大会」を開催、優勝者はアメリカ西海岸で行われる世界大会への出場権が得られ、現地に招待されます。ちなみに、今年の日本大会で優勝したカボチャの重量は485.1kg。10月に行われた世界大会では、過去の記録を140kg以上も回る3200ポンド(約921.7kg)のカボチャが登場し、記録を塗り替えました。私たちに馴染みのある西洋カボチャは2kg前後ですから、とてつもなく大きいことが分かるでしょう。
この巨大カボチャは、主に観賞用や飼料にされる“アトランティック・ジャイアント”という品種で、10月31日のハロウィン(古代ケルト人の秋の収穫祭が起源で、後世、カトリックと融合したと言われている)で使われるオレンジ色のカボチャと同種です。アメリカなどではハロウィンが近づくと、このカボチャで “ジャック・オー・ランタン”と呼ばれる提灯(ちょうちん)を作り、祭りの当日、中にロウソクを灯して戸口に飾ります。お化けのような怖い顔をした提灯を作る理由は、この日の夜に訪ねて来ると信じられている、死霊や悪霊を追い払うためだと言われています。
一方、子供たちは魔女やお化けに仮装して近くの家を1軒ずつ訪ね、「トリック・オア・トリート(Trick or treat.)」(お菓子をくれないといたずらするよ)と唱えてお菓子をもらいます。中には、カボチャのお菓子を作る家があったり、子供たちがもらったお菓子を持ち寄ってパーティーを開くことも。
いろいろな顔をしたカボチャの手作り提灯は見ているだけでも楽しく、遊び心を感じますよね。今年の秋はハロウィンにあやかってヘルシー・パーティーを開き、皆で持ち寄ったカボチャ料理を楽しんでみませんか。