私たちがふだん、何気なく見ている景色や身の回りにあるものは、みな色をまとっています。空や大地、動植物など自然界に存在する色のみならず、人工的に作られた物にも色があり、私たちは少なからず色の影響を受けながら生活しているのです。
人間が識別できる色数は、750万とも1000万とも言われており、それらを二つに大別すると、寒色系と暖色系に分けられます。青を中心とした青系の色は、寒さや冷たさを感じるため“寒色”と呼ばれます。この色は冷静さや落ち着き、安らぎを表し、人に印象づけます。青空を眺めていると穏やかな気持ちになるのもそのためでしょう。一方、赤を中心とした赤系の色は、暖かみや明るさを感じるため“暖色”と呼ばれ、熱さや力強さ、情熱を表し、その印象を人に与えます。寒い季節に暖色系のカーテンをつるすと暖かく感じるのは、色が与える心理的効果によるものなのです。
また、色には人間が見えやすい色と見えにくい色があり、奥行き感や距離の判断にも影響を与えます。
暗闇で見えにくい色は、茶・黒・青・紫。見えやすい色は、黄・白・オレンジの順番になります。さらに、寒色系の色は奥に引っ込んで見え、暖色系の色は飛び出して見える傾向があります。こうして見ると、寒色系より暖色系のほうが人の注意を引きやすいと言えるようですね。
赤、黄などの暖色系や白色は、実寸より大きく近くに見えるという特徴もあります。児童の帽子やランドセルのカバーに黄色が使われるのは、暗闇でも見えやすい色を採用して交通事故を減らすためなのです。反対に、青などの寒色系や黒色は実寸より小さく遠くに見えます。実際に、黒色の自動車による事故は他の色の車に比べて多いこともわかっており、バスやタクシーの車体に黒塗りが少ないのは、このような理由によるものです。
一般的に、子供は明るい暖色を好む傾向があります。ことに乳幼児は赤色を強く認識するため、乳幼児向けの玩具は赤色を基調に作られることが多いのです。黄色は子供が好きな色であると同時に、「記憶力を高める」「集中力を発揮させる」「判断力をUPさせる」「気分が明るくなる」などの効果があると言われるので、子供部屋には黄色を多く使うと良いかもしれませんね。
子供に限らず、黄色が好きな人は新しいことや冒険好きだとも言われています。何かを学びたいとき、発想力を高めたいとき、気持ちを開放したいとき、考えが煮詰まってしまったときなどに、積極的に黄色を見るようにすると、脳に良い刺激を与えられそうですね。
◎参考